3日目、わら最終日。丘の上の屋敷と最下流部のため池とを結ぶ、最も重要な谷筋。その中間点にある採石跡地。道はここで沢を横断しており、小さなコルゲート管で通水をあずけたその上流部はヘドロ化しており、昨日はここに重機がはまり込んでしまった。
まずは採石跡地の斜面変換点に水脈を掘る。
一帯は石灰岩の山なのだが、なぜかこのここだけ全く質の違う、破砕したような岩脈になっている。
有機資材は周囲の山にいくらでもあり、それを取り出すことで掃除・風通しの回復にもなる。
斜面変換点と林道の間にやや広い遊びがあり、水が溜まりそうな凹みになっている。そこに大枝を放り込んでいく。
道の上り方向に沿って土留めを兼ねた丸太を入れ込む。
道を横断する水脈を掘る。そのライン取りについて矢野さんは、「おおまかな方向性はあるけれど、まずは地面に聞く」と言った。もちろんすでに通っている地表の水脈があるが「重要なのは手感触。目で確認するのはその次」だそうだ。ところが私たちは、手感触よりも目よりも、まず頭が先行してしまう。
炭を入れて・・・
コルゲート管を埋設。
その上に中枝・大枝。しがらみを作るように。
その間、矢野さんの重機は沢が林道の下を潜るポイントへ。
入り口はすでに泥で埋まっており、下流の出口はこんな状態でわすがに泥がにじみ出ている。
入り口を探すように掘っていく。
杭を打って土留め柵を構築。点穴を掘り枝を入れて泥漉しとする。深追いすれば作業はいくらでも生まれるが、限られた時間の範囲で全体のバランスから作業を捉えることも大事。
ふたたび横断箇所に戻って溝に丸太を乗せていく。水脈の埋め戻しは中央を開けておくのが原則だが、ここは車が頻繁に行き来するので丸太でカバーして・・・
杭打ちと・・・
番線しばり。常に荷重にさらされる場所では番線は固く締め上げないほうがよい。
さらに土をかぶせていく。
仕上げは三つグワで丁寧に埋め戻す。このように「大地の再生」の仕事は手間の割に、仕上げの相貌がたいへん地味である。
こうして、この谷筋で最も複雑に開発されたヘソのような場所の施工を終えた。ここでは「枝だけ」の水脈、「コルゲート管を入れた」水脈、そして「丸太だけ」の土留め、と使う資材を場所に応じて使い分けている。
また水脈の分岐点にあえて点穴を作っていない。その地点の地面がすでに軟らかければ点穴はいらない。コルゲート管は水が集まる所だけに使っている。
斜面変換点と林道の間の遊びの部分は「資材置き場に使うといい」と矢野さん。人の使い勝手と自然が融合した置き方をすれば、大地が痛まず材も良くなる(育っていく・息をする)。
ともあれ、できるだけ有機ガスの発生を抑える(抜く)という手立てができて、来シーズンからは周囲の植物の劇的な変化が始まるだろう。
(続く)
レポート:大内正伸(イラストレーター・作家)
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