今日は宿の主人であり今回のイベント主催者「NPO法人あぶくま里山を守る会」の代表の大槻さんに丸森町の被災現場を案内してもらう。ここは阿武隈川支流の内川と新川の合流点付近(地図緑丸)。この上流部の2カ所で大きな決壊が起きた。
丸森町の洪水被害は、阿武隈川本流筋ではなく支流の堤防が決壊したことが特徴的だった。決壊箇所に盛り土をして仮堤防を造成後、雨水の浸透を防ぐためコンクリート製の大型ブロックと遮水シートで覆うという応急復旧が11月上旬に完了。東北地方整備局によれば内川、五福谷川、新川の3河川で18の決壊カ所があったという。
現在の堤防造成はただ土を盛土するだけで、植栽などは考えられていない。弱々しく雑草が繁茂しているだけで、越流されると天端よりも先に法面が崩壊を始めるという。
内川の氾濫地には厚く土砂が堆積し、ひび割れが始まっていた。
堤防に上がって上流側に向かってみる。
決壊カ所に作られた仮堤防。
コンクリートブロックのエッジが生々しい。
まだ爪痕が残る堤防の法面。
いちど「きっさこ」に戻ってお茶。雨が降り出したが、駐車場の水はずいぶん上がっていた。
今回、最も氾濫のひどかった五福谷(ごふくや)川方面へ。
まだ水の退いていな地区があった。
ここは凄まじい氾濫跡だった。
これは氾濫・洪水というよりも、土石流が押し寄せたような運搬力と破壊力を感じた。
やはり上流で人工林が崩壊したと見え、流木にはスギ丸太が多数見られた。五福谷川は地図上では細い河川で、普段は水量が少ないと思われる。
倒れた電信柱が横たわっていた。
今回の氾濫は単なる豪雨だけの増水被害ではない。山が滑ってその土石や流木が橋などに掛かり、それが堰となって氾濫を拡大させた。それだけでなく、いつまでも吐けない水流と地下水が上流側に遡り、液状化のすべり面を多数つくったのではないか。
それはやはり大地の詰まりによるものであり、その詰まりの間接的な原因は土木構造物によるところが大きいのである。詰まりが解放されて地中に空気が通り始めると、植物たちは元気を取り戻す。氾濫地の周囲の樹木は枝がピンと張ってそれぞれが個性を取り戻し、ヤブが解消しているように感じられる。
再び内川の上流に向かう。鮭の孵化場のある橋にはいまだ流木が刺さったままだ。
いまや山間部でさえ雨水の浸透能力を失っている。それはコンクリートやアスファルトで覆われことただけが原因ではない。地中の空気の出口が塞がれているために、水が浸透しにくい地面が広がっているのだ。
「あぶくま荘」下流の渓相。かなり上部までえぐられた痕が見える。
小沢に入ってみる。このような上流部にまで地中の空気詰まりは上がってきており、そのおかげで泥水の流出があり紅葉が冴えない。いずれにしてもこのままでは、今後も全国的に災害頻発がまぬがれない。
きっさこに戻り、昼食後は昨日の作業の続きを行った。
畑の再生も完成。来年はぜひ収穫後の「芋煮会」にお邪魔したい。
レポート:大内正伸(イラストレーター・作家)
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