活動事例レポ
ライセンス講座

【岡山県高梁市・百姓屋敷わら】ライセンス講座/2日目

わらの敷地、2日目。ため池上流部にて作業の確認。ここは重機でやや大きめの溝を掘り、有機資材を入れ、周囲を整地するところまできた。

枝は「空気や水を通しながらしっかりと組まれた木組み」いわゆる「しがらみ」にならなければいけない。ともすればキレイに揃えて並べがちだが、むしろそれは空気や水を通しにくくするのでよくない。

素材集めのとき最終的なサイズや枝を切り揃えずに、やや大ぶりのまま持ってきて溝に放り込む。すると余分な枝が溝からはみ出してくる。それを剪定ばさみやチェーンソーで切り取り、その枝を再び溝の中の枝に絡むように差し込んでいく。するといい感じに「しがらみが」できてくる。これは、大風や大雨のときに自然が成し遂げる技を真似たものである。

コルゲート管が準備される。水脈は枝だけではなく現代素材のポリエチレンを使った有孔管を併用するとなお効果的である。その場合は留め具で地面に固定し、さらに枝を上にかぶせる。

溝の掘り方は重機のバケットで掘るとどうしても底が鋭角になるので、スコップで曲面に掘り直して調整する。そのとき、底をただ平らにするのではなく、左右に溝を切るようにすると、水流や空気流に渦の変化が出る。

また、埋めもどすときは完全に塞がないで、中央部を開けて空気が動くようにする。

その埋め戻しのとき重要なのは、先に大きめの石が入って次は中くらいの石、最上部は細かい土・・・というように粒子が階層構造になることである。こうすることで上からの泥に対して水脈は詰まりにくくなる。それにはクワをかき下ろすのではなく、図のようにかき上げるようにして(やや回転運動気味に)動かすと大きめの石から落ちていく。

矢野さんの重機はため池の下流部に向かう。

立木を一本倒し、それを資材に使う。

下流もヘドロ化している。水脈を開けて上流との脈をつなぐ。

大きな切り株を掘り出して岸の土留め補強に使う。コース取りや土留めのアイデアは現地で入手できる素材で臨機応変に変わることはあるだろう。現場現場で多様なやり方があってよい。ここにあるものを可能なかぎり組み込んでやる。土と石と木をうまく組み合わせる。空気と水の循環を取り戻すにはここに帰るしかない。

池の端の道の水脈溝に丸太が置かれる。

炭を入れる。

手箕(てみ)を用いた資材のまき方には広範囲にばらまく「風まき」と、一カ所に注ぐようにまく「水まき」がある。グランドカバーのときは前者。このような水脈に入れる場合は後者の「水まき」で。

杭を打つ。杭はどの程度の間隔で何本打つか? それは1本打ってみればおのずと決まってくる。あくまでも強度のバランスが問題であって、本数が先ではない。杭が少なければ安定せず、多過ぎれば土が締まり過ぎる。植物は土の締まり具合に応じて根を張り巡らしていく。それと同じである。

杭は千鳥に打ち、丸太と番線で縛り、長く飛び出た部分は切っておく。余裕があれば切り口は面取りしておきたい。

池下流部から上がって、道との水脈をつないでいく。

午後からは林道の斜面変換点に水脈を入れながら上流へさかのぼる。資材調達グループと水脈構築グループで結(ゆい)の連携を思う存分味わう時間だ。

夕刻間際、重機が泥沼にはまってあわや・・・というハプニングが起きる。数本の丸太を駆使してキャタピラに噛み合わせ、なんとか脱出。これもまた良き経験かな。

レポート:大内正伸(イラストレーター・作家)

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