お知らせ
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【ご支援のお願い】「能登震災・豪雨災害」の根本解決を目指します!

<杜の財団> 能登 震災・豪雨災害支援活動

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〈次元の違う災害〉

「能登半島地震」の復興が少しずつ進むなか、9月21日に能登地方を襲った線状降水帯等の影響による豪雨は、輪島市以北に甚大な被害をもたらしています。

1月の地震以降、毎月「杜の財団」として能登で環境改善活動を行っている矢野智徳とスタッフは9月26日から現地入りし、27・28日の2日間にわたって災害調査に入りました。

そこで目の当たりにしたのは、1月の地震による災害とは次元の違う災害の現実でした。

この調査を踏まえて、10月3日(木)から1週間、能登の輪島市と珠洲市で流域環境改善活動を行います。

9月21日の豪雨により、能登半島全体で27河川が氾濫し、1時間に121ミリの雨量を記録した輪島市では5河川が氾濫。水が引いたあとも、山から流れた倒木と土砂で覆われた。写真は、2024年9月27日に調査のために輪島市内を走る矢野智徳とスタッフの車。

〈自然本来の雨水の浸透と循環を再生する〉

私たちが行う活動は、炊き出しでも、ガレキ撤去でもありません。それらは、被災地支援の経験を積んだ他団体が担ってくださいます。

「杜の財団」が担うのは、土砂災害が起きる原因になっている大もとへのアプローチ。今後を見据えた防災と減災であり、二次被害、三次被害を防ぐための、流域環境の根本改善です。

その改善方法は、極めてシンプル。

 「地表に降った雨水が、等速等圧で地下に浸透していくことを促す」

言ってしまえばこれだけなのです。

本来の自然の循環機能は、降った雨が地表から染み込み、伏流水となって、長い時間をかけて地中でろ過され、大地や河川を潤してきました。

ところが、人の開発により、市街地だけでなく山にも道路やダムなどのコンクリート構造物が増え、植林されて放置された山肌は地表が固く締まっています。

そこに、温暖化による極端な大雨が叩きつけるように降ることで、地表を雨水が走り河川は増水します。地下では、構造物に遮られて行き場がなくなった水が特定の箇所で滞留し液状化します。それが、地震や大雨によって、まるで、溜まりに溜まった膿が爆発するように、崩壊が起こります。今回のような豪雨では、こうした現象が大きな原因となって、増水した河川を土石流が堰き止めて氾濫をもたらしていると考えられます。

雨水が浸透することができない、詰まってしまった大地に、空気を入れ、雨水が浸透する“きっかけ”をつくる。それが、私たちが最初にする作業です。

人がきっかけをつくることで、さまざまな動植物がこれに呼応するように作業を応援しはじめます。それを受けて、さらに人が改善をしていく。ときには、大きな崩壊がもたらされることもありますが、それも自然が成りたい、本来の姿に戻りたい作用であると受け止めながら、自然に倣った改善を進めていきます。

人都合だけで進めるのではなく、自然から発せられるシグナルを見逃さない。

持続可能な暮らしをしていくために、自然との折り合いをつけていく。

効率を重視する現代社会から見たら、そんな悠長なことを言っていられないと思われるでしょう。しかし、これこそが、今後起きてくる、手がつけられないほどの大崩壊を回避する、たった一つの手段だと私たちは考えています。

土砂を除去し、コンクリートで固めていくだけでは一時的には収まったように見えますが、次の災害を引き起こす負の連鎖になっていきます。

大きく崩れてしまった場所を収めるのには重機の力が必要ですが、そのあとは人の手作業でメンテナンスができます。女性も子どもも、元気なお年寄りならできる作業。つまり、地域の方たちができる作業なのです。

土砂撤去後に、斜面変換点に溝を切り、枝などの有機物を入れて脈をつくることで、雨水がタテ方向に浸透するように促す。この小さなきっかけ造りによって、大気圧がかかり水が浸透していく、それを応援する動植物たちと呼応しながら毎月作業を進める。写真は2024年4月(画像上)と6月(画像下)。
(左)石川県輪島市。能登震災以前から崩壊を繰り返していた斜面。震災時も崩壊し、土砂さらいが行われたが再崩壊する。写真は2024年1月。
(右)再度撤去後の道の両サイドに矢野智徳氏のチームが、表層水脈(幅10~20cm、深さ10~20cm程度)を整備した。その後毎月表層5cm程度の泥さらいメンテを継続した結果、大量の大雨時でも雨水浸透が安定しほぼ土砂流出はなくなり、緑の下草が繁茂。斜面の崩壊はなく、安定斜面となる。清流域の回復につながる。写真は2024年8月。
2024年9月28日の同じ現場。1時間に121ミリという記録的な豪雨後も崩落はなく安定している。道に泥アクも出ていないことから斜面に降る雨水が植物の根を通して浸透し、自然本来の循環が再生していることがわかる。

〈日本のどこでも起こり得る災害〉

1時間に100ミリ以上の雨が降ると土砂災害が起こりやすくなりますが、今回の豪雨によって、能登半島全体で27河川が氾濫し、特に河川氾濫で大きな被害をもたらした輪島市では、1時間に121ミリという輪島市観測史上最高の雨量を記録しました。このため5河川が氾濫したと報告され、特に大きな被害をもたらした塚田川の氾濫は、奥山から河口まで土砂や倒木が流れ下って、いたるところで川を堰き止めたことが原因と言われています。

2023年の気象庁発表によれば、現在、1時間に100ミリを超える「猛烈な雨」は、1980年前後の2倍になっていることがわかっています。

また、現在能登半島では、山を切り拓いて「輪島道路」の建設が進んでおり、今回の豪雨では、トンネル工事の土砂災害が多発して行方不明者が出るほどの被害になっています。こうした道路建設が、山が本来もつ循環機能、流域環境に与える影響は計り知れませんが、開発は止むことがありません。

中山間地域が7割を占める日本では、どこでもこの災害は起こり得ることを認識していただきたいのです。

一方で、当財団は、こうした開発事業者と話し合い、少しでも流域への影響を軽減する考え方と技術を伝えたいと思っています。「対立」ではなく、「融合による解決」が私たちの目指すところです。

8月31日には、当財団の連携機関である、「風土再生学会」も設立されました。学会の会長である地理学者の堀信行先生と、学会員であり新潟大学農学部で農業土木学と自然科学の研究者である粟生田忠雄先生は、災害当初から現場に同行してくださっており、今回も、土壌、地質、水の調査を行います。

私たちは、現場実績の科学的検証を踏まえ、横断的な学術連携をもとに防災・減災を目指していきます。

ぜひ、「杜の財団」および「風土再生学会」の活動にご参加いただけますよう、お願いいたします。

【杜の財団 結の杜基金】活動へのご支援は下記よりご覧いただけます。

杜の財団 結の杜基金
https://syncable.biz/associate/yui-mori/donate
「結の杜会」会員募集
https://syncable.biz/associate/yui-mori/donate/membership
杜の財団の活動「能登震災風土環境再生事業」
https://morinozaidan.com/works/1
一般財団法人 杜の財団
https://morinozaidan.com/

◎「杜の財団」は「大地の再生®」技術による風土環境再生を【普及・育成・研究】する公益活動の母体として2023年12月19日に設立されました。

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