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【神奈川】横須賀市 施工レポート


神奈川県横須賀市、相模湾を望む高台600坪の土地にある大きなクスノキ。

 

 


クスノキの大木が残るこの場所は、「大楠(おおくす)」という地名が残り、
来春にはたくさんの子供たちが生活する場所となります。

 

 


  計画当初のイメージ図(現在は変更あり)

クスノキの大木を中心に、敷地内の木々や地形を生かした環境づくり。

多くの子供たちの生活の場となるこの建物は、「大楠(オオクス)の家」と名付けられています。

 

 

敷地内に笹が繫茂する、1年半程前の様子。

敷地内は笹が繁茂し、目通し風通しも悪い。

 

 

敷地外周には、コンクリートブロックの擁壁や道路があり、空気と水の循環が滞る。

 

 

外周には間知ブロック

 

 

そんな環境の中、2018年10月、大地の再生の手が入りました。

敷地内の空気と水の滞りを緩和する、水脈整備の様子。

その後も、敷地内の草の管理は風の草刈りで。

繁茂する草を地際で刈らずに、高刈りをしながら草の根を細根化させ、土壌を団粒化させていきます。

 

 

2019年6月11日~14日。

大地の再生 結の杜づくり 関東甲信越として、再び手を入れます。

 

 

まずは建設予定の建物に関わる樹木を、敷地内に移植します。

 

 

移植されたエノキ。

鉢の下には、通気を促す透水管を回し、根杭を打ち樹木を固定していきます。

今回は、人工土壌であるアクアソイルを埋め戻しの土に混ぜ、根の発根を促しました。

 

 

 

移植する場所は、目隠しを兼ねた敷地外周部分。

しかしながら、敷地外周は既存のコンクリート擁壁があります。敷地内の空気と水の循環を滞らせている、コンクリート擁壁は一部をブレーカーで解体しました。

一般的にはこのコンクリートガラは廃材として処分しますが、この場で活かす方法を模索し、同じ場所で土留めとして再利用することになりました。

 

 

建物の建設に伴い移動しなくてはいけないツバキも道路際に移植。

 

 

また、やむを得ず伐採した杉の木。

このような根っこも産廃として処分することなく再利用していきます。

 

 

こちらもコンクリートガラと同様に、道路際の土留めとして再利用します。

 

 

解体したコンクリートガラは、杭を打ち炭や枝を絡ませながら、安定させます。

 

 

「石垣」の要領で、コンクリートガラを積み上げ土留めをつくります。

目地は空気と水が通るように、竹や枝葉を差し込んでいきます。

 

 

結局、解体したコンクリートガラは、ほとんど使い切りました。

 

 

道路際は水脈を掘り、敷地内外にもしっかりと空気と水の循環を促します。

 

 

廃材を使い、木々を絡めた土留め。

植栽土木

コンクリートや石材などの無機物の中に植物を植えることで、その根が絡み土留めをより強固にしていきます。

 

 

移植したツバキと一体化した、コンクリガラの土留め。

 

 

作業の合間は、大きなクスノキの見える木々の下での休憩

 

 

クスノキにぶら下げたブランコで、子供たちが遊びます。

梅雨の晴れ間、心地よい空気が流れます。

 

 

土留めの作業の後は、隣接する砂利道の改善を行いました。

 

 

雨が降ると大きな水たまりができてしまう敷地に隣接する砂利道。

 

 

この砂利道の改善ですが、道路は「かまぼこ型」になるように、

やや真ん中を盛り上げて地形をつくります。

 

 

地形をつくった後は、道路の両脇の水脈整備。

 

 

剪定した枝葉や炭を組み込んでいきます。

道路脇の空気と水の循環を促しつつ、道路に降る雨の排水性も高めます。

その後、剪定枝を細かくしながら、道路に敷き詰めていきます。

 

 

一面に敷き詰めた様子。

道路の下地は、周囲の木々の根が張れるように、また雨水も程良く浸透するように、

有機物である剪定枝や炭を敷き詰め、多少の「緩み」を待たせます。

 

 

その上に、RC(リサイクルコンクリート)砕石を敷き、強度を高めます。

 

 

職人さんに混じり、子供たちも一緒に作業をしました。

 

 

そして、再び炭をまき、ウッドチップを敷きます。

 

 

最後にローラーで転圧し、完成です。

 

 

路盤のアップ。

RC砕石に炭やウッドチップが混ざります。

歩いてみても、固すぎず軟らかすぎず。心地よい感触が足に残ります。

 

 

道路と敷地内との間、やや斜面となるスペースは、「有機アスファルト舗装」を施工。

ウッドチップを混ぜ込んだアスファルトを敷き均しました。

 

 

仕上げはウッドチップや炭、アクアソイル(人工土壌)を敷き、芝などの下草の種をまきました。

 

 

転圧後の様子。

アスファルト舗装なのですが、こちらも木々の根、

特に大木であるクスノキの根が伸びるよう、路盤は多少の緩みを待たせ、

周辺の木々と共存する施工を行っています。

 

 

樹勢が弱りつつあったクスノキの大木。

その原因は、固い砂利道やコンクリートなどの人工的な構造物によるものが大きいと思われます。


人の都合に合わせて造作された構造物は、

空気と水の循環が滞り、不自然な水の流れを呼び、木々の樹勢は衰えていきます。

 

 

廃材となってしまうようなコンクリートも形を変え、

植物と一緒に使用することで、新たな使い道が生まれます。

 

 

植栽土木」という、土と木と石を使い空気と水の循環が良好に保てるような造作を施すことで、自然の摂理に沿った環境が出来上がります。

 

 

この場に関わる人や周辺に暮らす人との共同作業。

子供たちも一緒に関わる事で、この場への愛着も湧いていくでしょう。

 

 

美しい横須賀の海や山を、このクスノキと共に数十年、数百年後も残していけますように・・・。

(一社)大地の再生 結の杜づくり 関東甲信越  押田 大助

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