活動事例レポ
ライセンス講座

【市原市】ライセンス講座(被災地支援)/2日目

2日目、古民家周りの水脈整備の続き。小雨が降って屋根から雨だれが落ちてくる。

雨具をつけて資材作りの続き。奥の荒れた竹林もいくらかスッキリしてきた。

水脈溝に炭・竹・竹の枝葉が埋め込まれる。

屋敷の裏側ぐるりにも水脈。その奥は土塁が築かれており、道側に通水して落ちるように施工する。写真では炭の上に竹が凹型に置かれているが、水がたまらないように逆向きに伏せたほうがいい。

最後に炭とチップ・粗腐葉土をまいてグランドカバー。水脈整備とグランドカバーでぬかるみは大幅に解消される。炭はよく水を吸いまた保水作用が高い。それ自体がミネラルを持ち、多孔質で微生物のすみかにもなる。すなわち強力な土壌改良材である。

ここで「大地の再生」における炭の効用をおさらいしてみよう。

微生物のすみか、土壌改良材の他にも・・・、圧縮されると詰まって空気を通さなくなる土に比べ、炭は個体で硬く、微細な穴を持っているので踏まれても空気を通す。その上にチップ・粗腐葉土をまけば泥漉し(どろこし)として炭の目詰まりを防ぐ。

硬化した土をやわらかくし、空気を通すようにするには有機物の混入が欠かせないが、生のまま入れると分解の過程でどうしても有機ガスが出る。炭はそのガスを吸着し、分解して放散する作用を持つ。

古民家と米沢の森をむすぶ車道整備の続き。「直線の坂道」は雨のときそれ路面が水路になってしまい泥アクを流す。周囲の植物を疲弊させる最も悪いかたち。道路を横断する抵抗柵や水切りを置いて、流れ落ちる雨水を谷川(写真左側)に落とす工夫をする。

ビフォー・・・

アフター。

写真では分かりづらいが、右側の斜面変換線には水脈が、黄色破線部には丸太が埋められ、わずかに凸にすることで雨水は谷側に誘導される。水の停滞も良くないが、走り過ぎも良くない。

程よい流れは地面を侵食せず泥アクを流さない。かつ地下浸透を促し水を浄化していく。その水は河川へとつながり海へ導かれる・・・という流域のイメージを常に持つとよい。この地の大動脈は養老川である。地図で確認すると養老川の源流は房総半島の反対側に接近するほど長く、源流の近くには房総半島随一の聖山「清澄山」がある。

古民家周りが終了して(下の赤丸)、米沢の森の入り口付近に移動(上の赤丸)。2つのため池の間のぬかるみと、遊歩道の整備に入る。

国土地理院2万5千分の1地図に改変

ここは最近まで駐車場にしていたそうだが、度重なる大雨でひどくぬかるんでいる。

ともあれ水脈を攻める。ともあれ斜面変換線、面積的に大きい場合はさらに横断ラインをとる。

ここでも有機資材の調達。周囲のヤブの片付けがすなわち資材調達の作業になるという一石二鳥が「大地の再生」。

遊歩道のキワは砂岩がそのままグライ化していた。

房総半島の大半は非火山性の堆積岩(砂岩や泥岩)で成り立っており、そのため養老渓谷は下刻が進んで独特の風貌をもつ谷地形ができている。その本来の砂岩は文字通り砂色(下写真)なのだが・・・

グライ化した砂岩は青灰色になる(やや不快なドブ臭もする)。

矢野さんの重機を先頭に遊歩道を整備していく。斜面変換線の水脈と水切りは同じ。場所によっては路肩も掘削してガス抜きをする。

たまり水に水脈がつながれて泥水が流れ出した。

夕刻、サーチライトを点けながらの作業。

流水が続く水脈には長い竹をそのまま入れる(細かく割ったものは流れてしまうので)。

暗くなっても時間ギリギリまで作業は続く。U字溝をブレーカーで穴開けする。

樹木周りの溝掘り。さすがに範囲が広く、今回は米沢の森の入り口部分で終わった。

終了後、古民家へ戻り感想会。千葉県には里山整備のボランティアの会が相当数あるという。森林ボランティアはどこでも定年退職したシニア世代が主力となっている。その世代交代の時期に来て作業ペースが落ちかけたところに災害が頻発し、「手入れが追いつかない」という焦りをどこでも持っているようだ。

一方で、竹や笹を刈り続け、本来そこにない植物を植えるというような里山整備の手法は正しかったのだろうか? スギ・ヒノキ人工林の再生には明確な目標があるが、竹林・針広混交二次林・広葉樹林・雑木林の場合は正解が見えない。いまだに何を目標にしていいか分からない・・・というのが現状なのである。

谷地田が放置されてハンノキが繁茂し始めたことは、昔の谷津田に戻すことを目指すなら良くないことなのだが、私が昆虫少年で蝶を追いかけていた頃、ミドリシジミの植樹であるハンノキのある湿地は貴重な林だった。

ミドリシジミ(Neozephyrus japonicus)

その湿地は高度成長時代に開発されて住宅地ができ、ハンノキは伐られてミドリシジミは消えた。未来の昆虫少年のためにハンノキの存在を喜ぶという選択もあってよい。

その地の潜在能力を生かして空気視点から誘導するという「大地の再生」は、災害を防ぐという点でも優れている。この新たな手法を、全国の里山整備にぜひ活かしてもらいたい。

レポート:大内正伸(イラストレーター・作家)

 

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