活動事例レポ
ライセンス講座

【山梨県北杜市】ライセンス講座(縄文小屋メンテナンス)2日目

北杜市、八ヶ岳南麓にある野風草のメンテナンス2日目。朝、縄文小屋に集合して矢野さんが火入れを行う。この小屋は野風草の体験メニューとして使われているらしいが、それほど頻繁に火を使った形跡はない。

縄文小屋の炉は内部の中央地面に直接設置された「地炉」であり、その直径は思いのほか小さい。これは矢野さんたちがいくつかの縄文遺跡から調べたものの踏襲だそうである。石は楕円形のランダムなもので最大幅は320㎜、最小で210㎜程度のもが、合わせて10個ほど周囲に使われ正円の炉ができている。

点火して、矢野さんは鉄筋の棒で石と地面との空気の通りを確かめている。石の周りに空気が通うことが大事だそうで、作ったときは石の周りに水をかけて吸い込みを見たそうだ。

煙はよく抜けた。この縄文小屋は私が屋久島のイベントで作ったものとほぼ同じサイズだと思うが、背丈が高い。掘っ立て柱に架けられた梁の高さもほぼ同じくらいだが、その上の棟までが通常の倍くらいあるのだ。だから排煙の煙突効果が高いとも言える。

本来は棟部の両側にある三角形の窓(妻側の破風)が煙抜きになるのだが、少し棟に穴が空いているので余計に抜けがいいのかもしれない。ここは修正されることになるだろう。

炎の燃え具合を確かめてから、全員で舘野さんの畑に向かった。舘野さんは自然農法を川口由一さんに学んだが、川口さんの手法に欠けているものが「空気の視点」だと気づき、矢野さんとは2009年から付き合い始めて「大地の再生」を取り入れている。

畑の土はとても柔らかく、畝溝は小さくピッチが長い。舘野さんはここで自家採種した種を使って長年野菜を作り続け、体験宿の食事メニューにお使いになっている。

矢野さんの指導で畝溝の掘り起こしと草刈り作業を2時間ほど。

縄文小屋に戻る。いよいよメンテ開始。

上野原から運んで来たカヤ材や稲わらを広げる。

おそらくこれだけでは足りないので、舘野さんの敷地からササなどを刈りにいくことになろう。基本的に茅葺きはイネ科植物なら何を用いてもよいと言われている。最も一般的なのはススキ(カヤ)だが、ヨシ(アシ)葺きが最も高級で保ちが良いといわれる。丹後半島ではササ葺きの古民家を見たことがある。また、保ちは良くないが麦わらで葺いた民家も案外多い(茅葺きでも下地に麦や稲わらを使う場合がある)。

いずれにしても茅葺き民家は囲炉裏の煙による「燻し」がその屋根材の耐久性を高くするのだが、縄文小屋はその中心に囲炉裏があるわけで、常に燻され続けていたわけである。

まずは棟木の周囲に新しい竹を取り付ける。

棟の最上部の穴を塞ぐ追加の茅を挿す足がかりを作る。

稲わらを刺し始める。

新旧の素材の対比が鮮やかだ。

反対側からも。

やはりササ(アズマネザサ)を刈りに行く。

それを3カ所ほどひも(シュロ縄が雨に強い)で束ねる。

入り口の柱が傾いているので杭で補強。古柱を抜いて新たに設置するよりはるかにラクで早い。矢野さんは徹底してあるものを活かしていく。自然界に習っているのだという。番線も長さが足りないとすぐに継ぎ足したりせず、ペンチを用いてなんとかおっつけてしまう。

柱が直ると入り口の屋根を葺く。ここは表情が大事なところ。

稲わらの上からササが葺かれる。束を新たなシュロ縄で結束していくという単純なやり方だ。

正面の破風にも新たなササが。屋根は2段になっているのでここは煙が出なくていい。

下では屋根の裾の部分の風通し確保。

夕刻が迫ってくる。「小屋の中で火を焚き始めてください・・・」と、矢野さんから指示が出る。

私が行くことにした。屋根が揺さぶられて多数の古いササの葉が落ちていた。とりあえずそれを屋根側に寄せて類焼を防ぎ、外の焚き火から燃えさしと熾炭を運んで炎を上げた。一気に暖かくなる。なんともいい雰囲気だ。

夕暮れて、ライトを照らしての作業となるが、全部は終わらず時間切れ。それでも雨漏りの心配はなくなったであろう。

最後に棟から飛び出た部分を高バサミで切り揃える。

中で炎を囲み、お茶をいただきながら参加者全員で2日間講座の感想を語り合った。参加者の多くはこの縄文小屋の造りと炎に、強烈な癒しを感じたようだ。矢野さんは実際に縄文小屋を作ってみてその合理性に大変驚いたという。

夏は涼しく冬は暖かい。煙はよく抜け、乾いていて快適。虫の心配もない・・・。矢野さんによれば地炉の炎は地面の空気を動かしている、まるで生き物のように・・・。

私は囲炉裏で暮らした7年に及ぶ山暮らしを懐かしく思い出した。そして、この縄文小屋再生と炎を通じて「大地の再生」が新たな展開をしていく予感を持った。

レポート:大内正伸(イラストレーター・作家)

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