活動事例レポ
ライセンス講座

【京都】プレライセンス講座/3日目

3日間お世話になった徳昌寺は禅宗の寺で、矢野さんが5年ほど前から境内や庭の整備を続けている。寺の正門からまっすぐ続く道の正面には唐門があり、貴人の来訪時にはここからお迎えするのだそうである。

内陣の扉の左右には見事な木彫のレリーフが組み込まれている。

左手に本堂があり白州の庭に松が生き生きと枝を伸ばしている。ここから入ると廊下をはさんで内庭に面した和室がある。

今日は「現場に行く前に内庭の説明をしたい」と矢野さんから言われており、その和室に集合する。

この中庭は飛び石や灯籠が配され、造形的にも考え抜かれた植栽がほどこされている。その石の配列の秀逸さを矢野さんは褒め、やや伸び切った各樹木に風の剪定を与えていった。

剪定は主にカーブソーを使って行われ、その大胆に切られていく様は一見粗雑にもみえたが、バランスを見ながら全体が切り取られた後は見通しがよくなり、木々の間に停滞していた重い空気が、風に動き始めるのがはっきり感じられた。

 

枝についた剪定時のゴミやクモの巣などを払うには、その木と同じ剪定枝葉をホウキのように使って叩いてやると細かいゴミまでよく取れる。

もともとこの中庭は、こうしてコの字型の内側三方から愛でるようになっている。

中庭には低層木と石があり、その奥に築山の中木、そして最奥には高木のヒノキ林が風景としてつながっており、中庭の枝葉を整理したことで、そのスケールと心地良さが一気に感じられた。

保育園に移動して今日の施工目標とライセンスに関するテスト事項が説明される。

2日間手を入れただけで、木々の枝葉がピンと立ち表情が変わってきているのが分かる。

ハクモクレンの移植。根周りの最後の詰め。バックホウの操作はまず「どんな手順が要求されているか?」の理解に加えて、難易度の高い「重機の操縦力」が必要になる。

この小さなバックホウではハクモクレンは移送できないと諦めていた参加者だが、矢野さんの手にかかれば動き始める。コツは直線的に力をかけるのではなく「回転・曲線のモーメント」を与えること。そして瞬発に力を与えながら、地面を引きずっていけば動く。

昨日掘られた穴にキウイをそれぞれ植えていく。移植には

1)「移植剪定」(掘り取る前に運びやすいサイズに先端や枝の剪定をする)
2)「根取り・根巻き」(根の掘り出しと根を保護するカバーがけ)
3)「植付け」(所定の場所に植樹する)

の三つの流れがある。そのどれを欠いても移植はうまくいかない。これまで樹齢を重ねてきたその木の歴史を生かすも殺すも職人の手にかかっている。

コルゲート管の上に置かれた有機資材。

埋め戻し。この埋め戻しは暗渠を埋設するのではなく、地上との水と空気のつながりを保たねばならないので、繊細さと絶妙な感覚が要求される。

三つグワを使う場合、溝に向かって掻き下ろすのではなく、逆に上げ気味に動かして土に混じった石などを落としていく(搔き上げることで細かい土は落ちず、石だけが転がり落ちる)。

雨風に倣う動作。雨風は上に動きながら・・・下げていく。上げながら下げる。最終的にここはカマボコ型になる。

転がり落ちた大きな石は枝と土斜面の間に入り込み、土圧を支える(三つグワで押し込んでやる)。その間にまた小さな石が入って行き、最後に土が被さる・・・という階層構造ができると「泥濾し(どろこし)」効果ができてコルゲート管も詰まりにくい。

チェックシートを手に矢野さんが各自の点数をつけ始める。5段階評価だが、小数点が付けられるので評価は細かい。

アスファルトが運び込まれると、温度が下がらないうちに水をかけながら有機物(粗腐葉土)が加えられ、バケットで攪拌される。

最終的に竹を載せられた溝にその有機アスファルトを敷き均していく。

水脈に有機アスファルトを敷くのは、保育園の庭という性質上、子供たちの安全のために穴にカバーが必要なのだ。また今後工務店の作業車が出入りするので、水脈が潰れないための補強にもなる。

有機物と水蒸気の混入によって、固まった後に微細な穴が残る。これが有機アスファルトの画期的なところ。

まだ熱と接着力を保持したアスファルトの上に、さらに炭と粗腐葉土が撒かれる。この撒(ま)き方も重要で、審査の対象になる。矢野さんがいつも口にする通り、箕(み)による資材の撒き方には「水撒き」と「風撒き」がある。前者は水が落ちるようにドドッと撒くやり方、後者は風に散らばって広がりをもつ撒き方。今回は「風撒き」が要求される。

もはやアスファルトには見えないテクスチャー。

次に有機アスファルトが敷かれる周囲の土均し。この土均しを、矢野さんはどの現場においても徹底して周到に行う。この動作によって土質を確かめるということもあるのだろうが、この均し一つで降雨時の水の動きや浸透の度合いが変わってくるからである。

したがってこの「埋め戻し整地」も審査の重要な対象となる。

有機アスファルトが敷かれた上にコンパネをボルト金具で止めていく。

さらに土を被せて均す。

キウイの移植で一時撤去された柵の門も杭打ちによって再生された。

最終日なので園内の片付け作業に手間取り、審査発表と感想会のころは暗くなってしまった。点数は「埋め戻し整地」と「有機アスファルト(の配備と均し)」「炭などの撒き方」の三項目に渡って評価され、審査した矢野さん自身の声で各自に伝えられた。

なかなか厳しい評価も感じられたが、感想には笑いも出て、このプレライセンスという新たな試みに皆が熱く反応した様子が見て取れた。

これから新たな建物とともに、京都の一角を担うような新たなコンセプトの園庭ができるのが楽しみである。

レポート:大内正伸(イラストレーター・作家)

 

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